世界水準の高度なスポーツのチーム戦術を
データで説明できるのか?
健康データサイエンス学科/講師/松岡 弘樹
Department of Health Data Sciens/Hiroki Matsuoka
データサイエンスによるスポーツ・eスポーツのパフォーマンス評価研究
世界最先端の「サッカーの科学」が原点
私が研究に興味を持ったきっかけは、イギリス留学での世界最先端の設備を持つプロサッカーチームの見学でした。そこでは、高性能カメラやGPSのような最新のテクノロジーを用いて選手の移動の軌跡を記録し、データに基づいたパフォーマンスを実現していました。日本では指導者の経験や感覚に頼った指導が中心であったため、世界と日本の大きな差を実感しました。帰国後に、大学院でスポーツのデータサイエンスや統計学を学び、スポーツの戦術行動を科学の力で解き明かす道へ進みました。その時から、プレイヤーの位置情報を用いれば、「専門家の頭の中にしかない高度なチーム戦術を数値で評価できるのではないか」と考え研究を開始しました。
ハイパフォーマンスを支える戦術評価
私の研究テーマは、チーム戦術の「達成度評価」と「因果構造」の解明です。トラッキングデータを用いることで、どのような技能要因が戦術成功に貢献しているのかを客観的に示すことができます。これにより、チーム戦術成功のパフォーマンスの流れが明らかになり、科学的根拠に基づくコーチングやトレーニングに活用できます。さらに、デジタル空間で行われるeスポーツにもスポーツ科学のフレームワークを応用することで、まだ体系化されていないeスポーツの戦術評価や選手育成の指針を示すことが可能になります。リアルとデジタルの両分野で競技力向上を支える基盤技術となることが期待されています。
データサイエンスとAIで専門家の「経験」と「勘」を可視化し、新たな価値を探究する魅力
この研究の醍醐味は、データサイエンスやAIの技術とGPSデータや映像解析を駆使して、これまで指導者の「経験」や「勘」で語られてきた戦術やプレーの良し悪しを数値化して、新しい発見を生み出せる点にあります。例えば、人間の直感では気づきにくいプレーの成功パターンがデータから浮かび上がることもあります。急速に進化するテクノロジーをスポーツやeスポーツにどう活かすかを考え、社会に役立つ形で成果を示せることは大きな魅力です。探究心が新しい価値を生み出す瞬間こそが、研究の面白さです。