クオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上に
貢献する食の科学とは?

健康栄養学科/准教授/山﨑 貴子
Department of Health and Nutrition/Takako Yamazaki

調理方法・保存方法による食品成分量の変化・物性の変化を検証

“料理のコツ”や“先人の知恵”といわれるものを科学的に紐解く、「食品科学」「調理科学」の研究分野の道へ

「食品科学・調理科学」の研究分野に興味を持ったのは、大学1年生のとき。大学の講義や実験実習で “料理のコツ”、“先人の知恵”と言われているものが、全て食品成分の調理特性によるもので、科学的に説明できるものであることを知ったことがきっかけでした。現在は食品に含まれる成分の量や硬さなどの物性が、調理や保存によりどのように変化するかを調べています。

肉を柔らかくするための調理方法や地域の農産物について研究

これまで行ってきた研究は大きく2つ。ひとつ目は低温スチーミング調理。食肉の中で硬くて利用がされにくい部位を低温で蒸したり、マイタケのたんぱく質分解酵素を利用したり牛肉の軟化の研究を行ってきました。ふたつ目は新潟市北区の遊休農地再生利用事業と特産物づくり事業に関連し、地域貢献を目的として研究を重ねてきた「シルクスイート」という品種のさつまいもについての研究です。研究を開始した2012年頃は「シルクスイート」は比較的新しい品種で、成分等に関する学術的な報告が少なかったこと。また、食品の成分は品種や土壌などの栽培条件により左右されることから、北区で栽培した「シルクスイート」の成分量やその調理特性についての研究を行いました。

健常な方だけでなく高齢者や疾病を持つ方など誰もが“おいしく”“健康的”な食事を楽しめる調理方法を探究

病院や福祉施設等では、咀嚼が困難な方・疾病を持つ方の食事に対して調理を工夫していますが、栄養計算には食品成分表の生(調理前)の値を使用していることが多いということを知りました。“実際に提供している食事の栄養成分量と、献立作成の際に計算した栄養成分量はどの程度異なるのか”という点を、疑問に思ったことから「大量調理による食品成分量の変化と日本食品標準成分表計算値との比較」の研究が始まりました。この研究結果が明らかとなることによって、医療・介護分野をはじめとする給食施設で献立作成、栄養評価を行う際に役立つと考えています。食に対しておいしさ志向・健康志向・調理の簡便化志向などが高まっている近年。誰もが食事を楽しむためには、栄養面・物性面はもちろんのこと、おいしさや調理の簡単さなども考慮した調理方法の検討は必要不可欠。ニーズに沿って導き出した調理方法を科学的に検証し、今後も人々の健康維持・増進、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上に貢献していきたいです。

高校生へのメッセージ

研究計画時に立てた仮説を一つひとつ検証し、研究結果で明らかになった時に面白さを感じます。研究は普段のちょっとした疑問が第1歩。日常生活のなかで疑問に感じていることがあれば、探究してみましょう!

健康栄養学科/准教授/山﨑 貴子
Department of Health and Nutrition/Takako Yamazaki

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