人はなぜ必要以上に
痩せたいと思い続けてしまうのか?

健康栄養学科/教授/稲葉 洋美
Department of Health and Nutrition/Hiromi Inaba

共食頻度に着目した過剰なやせ願望予防・改善プログラムの開発

「なぜ痩せたいと思い続けるのか」という素朴な疑問

若い女性の「やせすぎ」が減らない背景には、心理や社会、生活習慣など様々な要因が絡み合っています。特に問題となるのが、必要以上に細さを求めてしまう「過剰なやせ願望」です。私たちは、これまで一緒に食事をすることで味の感じ方や食事量が変わる「共食」の研究を進めてきました。その中で、家族と食事をする回数が少ないことが、体型の感じ方に影響し、「もっと痩せなければ」という思い込みを強める可能性に気づきました。食事の場のあり方が心と体のイメージ形成に関わっているのではないかと考え、この研究に取り組むようになりました。

幼少期の食卓が将来の健康意識を左右する可能性

実際には太っていないのに「痩せたい」と感じ、減量行動をとる若年女性は少なくありません。思春期以降に健康教育を行っても、すでにメディアやSNSの影響を強く受けており、意識を変えるのは簡単ではありません。そこで本研究では、「痩せたい」という気持ちが芽生える前の幼少期の生活習慣に注目しています。家族と一緒に食卓を囲む回数を増やすことで、体型を正しく捉える感覚が育ち、将来の過剰なやせ願望を抑えられる可能性があります。妊娠・出産期の家庭に共食の大切さを伝えることは、次世代の心と体の健康づくりを支える具体的な予防策になると期待されています。

答えのない問いに挑み続ける研究の面白さ

研究の魅力は、「なぜだろう?」という疑問を出発点に、仮説を立て、調査や実験で確かめていく過程そのものにあります。結果が予想通りでも、違っていても、そこから必ず新しい疑問が生まれます。思うように進まないことや、計画通りにいかないことも多く、論文にまとめる作業は大変です。しかし、その一つ一つの試行錯誤が、新しい発見へとつながります。答えがすぐに見えないからこそ考え続け、工夫し続ける。その探究の積み重ね自体が、研究の最大の面白さであり、やりがいでもあります。

高校生へのメッセージ

ヒトは、産まれた瞬間から命が尽きるまで、栄養素とエネルギーを摂り続ける必要があります。「いつ・何を・どれだけ・どのように」そして「誰と」食べることが健康や幸せにつながるのか一緒に考えてみませんか。

健康栄養学科/教授/稲葉 洋美
Department of Health and Nutrition/Hiromi Inaba

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