視力を理由に夢を諦めない
未来のために大切なこととは?

視機能科学科/准教授/村田 憲章
Department of Orthoptics and Visual Sciences/Noriaki Murata

視線解析技術を使って、赤ちゃんの視力を正確に計測できる方法を研究

視能訓練士の経験から、子どもの視力検査の難しさと大切さを実感。
大学院生時代の研究が新しい検査方法を生み出す糸口に。

私はもともと視能訓練士として、目の疾患がある方の検査や弱視の訓練を行っていました。その中で、「子どもの視力は3歳にならないと正しく計測できず、それ以前に測定の機会もほとんどない」という課題を知りました。しかし、視力異常の発見が遅れると、将来メガネをかけても視力が改善しないため、早期発見がとても重要になります。一般的な視力検査は、言葉を話せない赤ちゃんには適用できず、目の位置が大きくずれているなどの異変に気づいた親御さんが受診しない限り、異常が見過ごされる可能性があります。3歳未満の子どもへの検査の1つとして「縞(しま)視力」という方法がありますが、血液検査のように誰が測定しても同じ結果が得られるわけではなく、検査者の判断によって結果が変わる可能性があるという課題があります。
私は大学院生時代に“視線解析技術”を使った研究をしていました。この技術を応用すれば、視線の動きを自動解析できるため、より正確な視力測定が可能になるのではと思い、研究の道に進みました。現在は、視線解析技術を活用し、赤ちゃんの視線を客観的に分析することで、誰でも正確な視力測定ができるシステムの開発を進めています。

視線解析技術を用いた自動的な視力測定方法を開発し、無限の可能性を秘めた子どもたちの未来を守りたい

私たちが研究に使用している視線解析技術は、顔認証機能を搭載し、自動で黒目の位置を判別して視線を解析する装置です。今は実用化に向け、検証を重ねています。研究で最も大切なのは、“再現性”。誰が行っても同じ結果が得られるように、さまざまな状況を想定しながら準備と検証を重ねます。同時に、データの“鮮度”も重要。収集したデータをすぐに分析し、発表することで正確性を高めます。研究は「巨人の肩の上に立つ」—研究成果が論文として残ることで、次世代の研究者がさらに発展させ、未来へとつなげていくという言葉です。自分の研究が100年後に誰かの役に立つかもしれない。そう考えるとカッコいい。研究を発表するたびに、「この成果が、将来の子どもたちの視機能の向上につながる」と考えると、大きなやりがいを感じます。航空機のパイロットや電車の運転手など、矯正視力の規定がある職業もたくさんあります。視力が原因で夢を諦めることがないように—そんな思いで、私はこの研究に取り組んでいます。

高校生へのメッセージ

本学の志望者は「人のためになりたい」という意欲が旺盛だと思います。目の前の対象者を支援するのも、研究によってその分野の基盤を構築するのも、大切な仕事です。夢の形は一つではありません。応援しています!

視機能科学科/准教授/村田 憲章
Department of Orthoptics and Visual Sciences/Noriaki Murata

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