消えない痛みの正体は
脳の中に隠れているのだろうか?

理学療法学科/講師/長坂 和明
Department of Physical Therapy/Kazuaki Nagasaka

脳卒中後の“最悪の痛み”を克服する治療法創出を目指す研究

脳卒中後も消えなかった「痛み」への疑問が原点

この研究のきっかけは、初めて担当した脳卒中の患者さんとの出会いでした。意識障害や手足のまひは回復していったのに、強い「痛み」だけは最後まで残り、「どうにかしてほしい」という訴えに応えられず、無力さを感じました。脳卒中後の痛みは非常につらいにもかかわらず、なぜ起こるのか、どう治せばよいのかが十分に分かっていません。目の前の患者さんを治すだけでなく、「そもそもなぜ痛みが生じるのか」を脳の仕組みから理解することが、将来の確実な治療につながると考え、私は動物を用いた基礎研究の道を選びました。小さな発見の積み重ねが、いつか多くの人の苦しみを減らすと信じて研究を始めました。

痛みが生まれる脳の仕組みを解き明かす挑戦

私の研究は、脳卒中後に生じる強い痛みが「脳のどこで、どのように」作られるのかを明らかにすることを目指しています。仕組みが分かれば、新しい薬や刺激治療など、より効果的な治療法を設計することができます。基礎研究の成果はすぐに患者さんの治療に結びつくわけではありませんが、原因の解明は医学の土台となり、未来の治療法を生み出す設計図になります。

世界中の研究者が同じ課題に取り組んでおり、それぞれの成果が集まることで、10年後、50年後、100年後には、脳卒中後の痛みに苦しむ人を確実に減らせる医療が実現すると期待されています。

見えない脳の働きが光で現れる瞬間の感動

この研究の魅力は、脳の中で起きている見えない現象が、光によって色として浮かび上がる瞬間にあります。神経の活動を可視化すると、まるで宇宙のように美しい地図が現れ、脳の不思議さと奥深さを実感します。一方で、動物実験には高度な技術と根気が必要で、失敗が続くことも少なくありません。それでも、長い試行錯誤の末に実験が成功し、これまで分からなかった仕組みの一部がつながったとき、大きな達成感があります。困難を乗り越えて得られる小さな発見の積み重ねこそが、研究の醍醐味であり、未来の医療につながる一歩だと感じています。

高校生へのメッセージ

メジャーの大谷選手が地道な努力で世界に挑み頂点に立ったように、研究も続ければ誰でも世界の最前線に立てます。自分の可能性を信じ、思いきって研究に挑戦してみませんか。

理学療法学科/講師/長坂 和明
Department of Physical Therapy/Kazuaki Nagasaka

教員の詳細はこちら

View more

教員の所属している
理学療法学科の詳細はこちら

View more