画像に写らない異変を
AIはなぜ感じ取れるのか?
診療放射線学科/講師/吉田 皓文
Department of Radiological Technology/Akifumi Yoshida
胸部X線画像で異常を説明できる生成AIモデルの開発
レントゲンに映らない情報をAIで読み解く発想
胸部X線検査は、肺や心臓の「かたち」の異常を見つける検査ですが、肺の働きや骨の強さといった機能の異常は直接は映りません。私たちは、胸部X線画像から肺機能や骨密度といった情報を推定できるAIの研究を進めてきました。近年のAIは、慢性閉塞性肺疾患や骨粗鬆症など、症状が出にくい病気のリスクを高精度で予測できる可能性が示されています。しかし、「なぜ画像に写らないはずの情報をAIが読み取れるのか」という理由が分からないことが課題でした。そこで、生成AIを用いて診断結果の根拠を言葉や図で説明させ、AIの考え方を見える形にしたいと考えたことが、本研究の出発点です。
説明できる医療AIが切り拓く新しい健康診断
この研究が進むことで、AIの判断理由を医師や患者が理解できる医療の実現につながります。医療現場では、AIが出した結果に適切な根拠が示されなければ、安心して利用することはできません。特に、画像に映らない軽い肺機能低下や骨密度の低下を見つけるAIでは、その理由を説明できることが重要です。
生成AIにより診断の根拠を言語化できれば、AIの信頼性が高まり、人の責任のもとで安全に活用できるようになります。将来、健康診断で撮影する一枚の胸部X線から、肺機能検査や骨密度検査の情報まで得られるようになれば、慢性疾患の早期発見と予防に大きく貢献する新しい検査の形が実現すると期待されています。
AIで見えない病気を早く見つけられる研究の魅力
この研究の面白さは、AIの力で人の目では見つけにくい病気の兆候を捉え、多くの人の健康を守れる可能性がある点です。専門医でも胸部X線画像だけで軽度の肺機能異常や骨密度低下を判断するのは難しいとされていますが、AIはそこに新しい視点を与えてくれます。さらに、その判断理由を説明できるようにすることで、人とAIが協力して診断する医療が実現します。身近な健康診断の画像から将来の病気のリスクを早く知り、予防につなげられる社会をつくることは大きな挑戦です。研究成果が誰かの病気の早期発見や生活の質の向上につながると考えると、未来の医療を切り拓くワクワクを感じながら研究に取り組めます。