
知覚・運動・認知などの機能を司る大脳皮質を構成する神経細胞は、生体電気信号によって情報を伝達します。2000年に、頭皮上に設置した電極から1mA以下の弱い直流電流で行う刺激により、中枢神経系の活動が一過性に変化するという証拠が示されました。以来、経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation: tDCS)はヒトの脳活動を非侵襲的に修飾し、中枢神経系疾患の症状を改善したり、特定の課題遂行時に重要な脳部位を探索することができるツールとして脚光を浴びています。本分野に所属する桐本光准教授は九州大学大学院医学研究院と共同で、このtDCSを用いた研究に国内でもいち早く取り組んでいます。桐本准教授らが行った、運動前野や補足運動野という高次の運動関連領野に対するtDCSが一次体性感覚運動野の興奮性の変化を惹起するという研究成果は、今年のClinical Neurophysiology誌に掲載されただけでなく、Editorialというコーナーで注目すべき論文としても取り上げられました。また、tDCSの陰極刺激により、一過性に低下した脳機能は60−90分程度で自然回復します。脳卒中後の患者さんにリハビリテーションを行わない対照群を設けることは倫理的に困難ですが、この方法により健常者に脳卒中モデル脳を作成し、機能回復時間の短縮に有効な作業療法的介入方法について検証する研究が現在進行中です。
| 科学的検証能力の育成 | 現在、作業療法領域においては,科学的根拠に基づいた作業療法技術を開発、実践し、その有用性を証明することが求められています。これに伴い、作業療法の発展に貢献できる人材を育成できる優れた教育者も求められています。作業療法学分野では、このような時代の要請に応えるために、各領域の専門家により作業機能を効果的かつ科学的に検証する知識・技術を養います。 |
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| 幅広い 専門領域で研究 |
作業療法学分野では,磁気刺激等による基礎及び臨床系の両面から研究を行っています。基礎系研究では、筋電図計測システム、誘発電位解析システム、動作分析装置、マルチチャンネル酸素モニタなどを用い、運動生理学と脳科学分野の研究を中心に行っています。臨床系では手の外科学、高次脳機能学、内部障害学、ADL、運動学習に関する研究を行っています。 |
| 各領域の専門家 による教育 |
作業療法学分野の教員スタッフは、ハンドセラピー・高次脳機能学・内部障害学・感覚統合・ADLなど、各学会の牽引者として活躍しています。これらの専門家による専門教育により、将来各領域を担うスペシャリストを育成します。 |
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作業療法学は、生活適応と役割遂行能力の障害を作業機能障害と捉え、心身に障害を負った人々の作業機能回復のために、治療・指導・援助を行う科学です。本作業療法学分野では、小児期から高齢期までの作業機能障害に対する評価法や治療法などを確立するために、基礎及び臨床研究・教育・臨床を一体として推進しています。指導教員の個別講義・演習では、身体機能や高次脳機能、ADLの状態をより客観的に評価する方法や科学的なデータ解析と提示方法、論理的な考察の進め方、正しい統計学の使用、更には効果的なプレゼンテーション技術など総合的な力を習得します。
身体運動や高次脳機能、ADLについてさらに探求したい方、是非我が大学院、作業療法学分野にいらしてください。