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医療技術安全管理学分野
安全な医療を提供するために

2015年4月、我が国で唯一の修士課程保健学専攻医療技術安全管理学分野が、ここに開設されました。高度医療は、過去の医療技術の上に育まれた先端医療技術に支えられていると言っても過言ではありません。しかし予期もしないインシデントやアクシデントの発生で、安全性は必ずしも保証されていないのが現状です。また、これらがマスコミにより報道され、患者情報が身近なものになっているのも事実です。近年、臨床における医療技術分野にもリスク管理、品質管理、国際標準化の概念が導入され、また医療全体においては安全に関わる文化が形成され、医療技術における様々な安全管理に寄与することのできる人材が必要とされています。医療技術安全管理学分野では、これらの専門識者を養成します。

トピックス
ますます求められる国際標準に沿った臨床検査室運営

医療機関や衛生検査所などが行う検体検査の精度の確保等を内容とした「医療法等の一部を改正する法律案」が国会で成立しました。疾病の的確な診断や、治療効果の評価等のため、日々の診療の中で実施される臨床検査は、その品質・精度の確保は医療技術の進歩とともに、非常に重要になってきており、中でも遺伝子関連検査を用いるゲノム医療については、目覚ましい進歩を遂げています。ゆえにこれら検査の品質を保証する仕組みは、医療のグローバル化の流れの中で、国際標準に裏打ちされたものが求められる時代になっているのは確かなことです。医療技術安全管理学分野では、臨床技術分野における国内外の動向や最新の国際規格の開発状況を理解し、国際的にマッチした研究の進め方を目指しています。

最近の研究成果:

原著論文)
熊谷順子他; 登録衛生検査所における検体搬送時の温度管理に伴うRisk Managementについて. 生物試料分析Vol.40(2):130-136,2017.
学会発表等)
渡邊博昭他; 新潟県の特定健診におけるHbA1cの受診勧奨判定値以上の割合に及ぼす影響について. 第11回医療の質安全学会(千葉)2016.
熊谷順子他; 臨床検査前工程における問題と改善について. 第11回医療の質安全学会(千葉)2016.

特色
医療技術における安全管理のパイオニアを輩出 疾病の診断・治療・予防のための様々な臨床検査データの提供に加え、先端医療機器の操作や保守管理等は、総合保健医療の実践に不可欠となっています。そして安全な医療の提供には、何よりもチーム医療におけるメディカルスタッフ相互の業務協力が必要です。それにはリスクマネージメントシステムの運用が必須です。医療技術安全管理学分野ではリスクマネージャーの育成をはじめ、医療の分野で益々の普及が予想されるISO 15189(臨床検査室―品質と能力に関する要求事項)認定取得におけるプロジェクトマネージャー、医療安全管理者、医療機器安全管理責任者、精度管理責任者などに必要な知識・技術を修得します。
医療技術安全管理に関連する研究を指導 我が国の医療安全管理は、過去の経験に基づいた固有の伝承により構築されてきたように思われます。いっぽう国際的には、欧米中心のシステム化された管理技術により作成された標準システムが普及しています。本学の医療技術安全管理学分野においては、国際標準を理解し、これを取り入れた管理システム構築に関連する研究を中心に推し進めたいと考えています。
医療技術安全管理学分野修士(保健学)は活躍するフィールドが広く、医学・医療における縁の下の力持ち 就職の実態をみますと、病院では、病院管理職・医療技術部門・看護部門そして医療安全管理室などが挙げられます。教育機関では、今後ますます医療安全教育が盛んになりますので、大学教員、専門学校教員にも有利です。また企業関係では、医療機器・医薬品メーカーおよび販売、登録衛生検査所、ISOコンサルタント業などです。いずれにしても国家資格にプラスされれば、個人にとっては大きな付加価値になります。
修了後の進路・目指す将来像
  • 病院管理職
  • 医療技術部門
  • 看護部門
  • 医療安全管理室
  • 医療機器・医薬品のメーカーおよび販売業
  • 検査センター
  • ISOコンサルタント業
  • 大学教員
  • 専門学校教員

分野長メッセージ

医療技術安全管理におけるリーダーの育成

長濱 大輔医療技術安全管理学分野長

高度医療は、先端医療技術に支えられています。しかし無理な医療技術適用は、予期もしないアクシデントを生ずることがあります。これに関連した事象は、2014年11月、群馬大学医学部附属病院で腹腔鏡手術を受けた患者さんが、8人も死亡した報告が新聞紙上に掲載されました。このニュースは、1999年、横浜市立大学医学部附属病院で起きた患者取り違え事件以来の大きな衝撃を国民に与えました。何よりも安全な医療の提供が大切であることは、言うまでもありません。現在は「医療の質・安全学会」が、全国の医療安全活動をリードしています。

病院の医療技術部門でも然り、検体の取り違え、検体破損、検査結果入力ミス、機器操作・機器管理不良、採血に関する諸問題等のインシデント報告が多数あります。現場では多くのインシデントと発生してはならないアクシデントの是正および予防対策が必至であります。

このような状況の中、医療技術安全管理学分野では、高度医療を支える医療技術部門に特化した安全管理に精通する専門識者を育成し、輩出します。それ故、我々は国際標準に基づく医療安全管理システムの構築を目指します。