学長メッセージ

2023年度 卒業式式辞

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。大学院修了生の皆さん、修了おめでとうございます。新潟医療福祉大学の教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。保護者の皆様もさぞお喜びのことと存じます。ご子息・ご息女の晴れのご卒業・修了を心からお祝い申し上げます。

本日卒業なさるのは、理学療法学科119名、作業療法学科39名、言語聴覚学科36名、義肢装具自立支援学科38名、臨床技術学科88名、視機能科学科43名、救急救命学科47名、診療放射線学科90名、健康栄養学科40名、健康スポーツ学科194名、看護学科101名、社会福祉学科124名、医療情報管理学科83名の計1,042名、大学院を修了なさるのは修士課程50名、博士後期課程8名の計58名の皆さんです。本学は2001年の開学以来、14,203名の卒業生、667名の修了生を送り出してきたことになります。

世界は新型コロナウイルスの登場から早5年目を迎えています。思い起こせば、皆さんを本学に迎えた2020年は、わが国でもクルーズ船の集団感染に始まり、感染が急拡大してきていました。これから一体どうなってしまうのかと皆が大変不安になり、本学でも予定されていた入学式を開催できませんでした。4月7日には最初の緊急事態宣言が出され、大学には入構することも叶わなくなってしまいました。対面に代わってオンライン、オンデマンドでの授業になり、課外活動もできなくなりました。多くの活動が制限されたことによって、皆さんが思い描いていたような大学生活は送れなかったかもしれません。

幸い、オミクロン株が主流となった後は、死への恐怖は薄らぎ、若い世代では感染しても大事には至らなくなりました。社会経済活動も徐々に再開に向かって行きました。大学生活の後半では、入学当初にはできなかったことが、少しずつでもできるようになったのでは、と思います。われわれはこの先も、新型コロナウイルスのような新たな感染症の脅威に直面する可能性があります。その時には、このような未曾有の危機を乗り越えるという得難い経験をしてきた皆さんに、今回の経験を活かして、新たな脅威も克服できるよう、大いに活躍していただきたいと期待しています。

皆さんは「誰かの役に立ちたい」という想いを抱いて、新潟医療福祉大学に入学されたことと思います。本学はそのためのパワーを身につけ、何らかの国家資格や技術を取得していただくお手伝いをしてきました。これから誰かの役に立てる人になってください。本学の建学の精神は、誰かの役に立つことを「優れたQOLサポーターになる」と表現しています。

新潟医療福祉大学は在学中に修得すべき目標として5つのSTEPSを設定し、皆さんが生涯にわたって自らを高め続けることができる力を身につけていただけるよう、教育や研究を実践してきました。ここに改めてSTEPSを示します。最初のSは「Science & Art」のSです。専門職として、常に最新の知識、技量を修得し続ける力を備えてください。次のTは「Teamwork & Leadership」です。クライアントを地域で支える活動は今や、医師など単独の職種だけではカバーできなくなりました。たくさんの職種の専門家がチームを組み、お互いに連携し、助け合って働くことで初めて実現されるのです。他の専門職を尊重し、チームワークを大事にしましょう。本学の卒業生にはこのような支援チームのリーダーになって欲しいと願っています。次のEは「Empowerment」で、クライアントを力づける力です。次のPは「Problem-solving」です。現場ではさまざまな問題が発生しますが、チームとして問題を解決して行くことができる力です。そして最後のSは「Self-realization、あるいはSelf-actualization」で、こうした活動を通じて自己実現を目指していく力です。STEPSは在学中の学修目標に留まりません。優れたQOLサポーターであり続けるために、皆さんはこれからも自らを高める努力を続けてください。このSTEPSを身につければ、皆さんは卒業後も必ずや「誰かの役に立ち続ける」ことができると確信しています。

もう一つ、「誰かの役に立つ」ために考えていただきたいことがあります。それは「利他の心」です。誰かのことを気遣う、慮るということです。自分が大切であるのと同じように、他者も大切に想う気持ちを意味しています。誰かの役に立ちたいと思う気持ちは、ここから始まるのです。他の専門職とともに働くためには、他の専門職を尊重し、支え合う必要があるとお話しましたが、本学を卒業される皆さんは、ここでも他者を気遣うという「利他の心」を発揮していただきたいと思います。利他という言葉は、これから「優れたQOLサポーター」として長い人生を歩んで行く皆さんにとって、鍵となる言葉です。この言葉・気持ちを常に大切にしてください。

新潟医療福祉大学は、カリキュラムの中心に、学科の枠を超えた連携教育を据え、これから皆さんが「優れたQOLサポーター」として活躍できるように、全力を挙げて皆さんをサポートしてきました。今度はあなたたちが種を撒く番です。次の世代のために、新たな種をあなたたちが撒き続けてください。これから実社会に漕ぎだす皆さんの前途が輝かしいものとなるように、私たちは皆さんが卒業した後もサポートを惜しみません。皆さんを応援し、皆さんの活躍を心からお祈りしています。

末尾に、私から皆さんに「はなむけの言葉」を送り、卒業式・修了式の学長式辞とします。

「明日この世がなくなってしまうとしても、私は今日もリンゴの木を植える」

2024年3月19日 新潟医療福祉大学学長 西澤正豊