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【大学院・運動機能医科学研究所】大学院修士課程2年(理学療法学分野)中川昌樹さん(神経生理・運動生理Lab、運動機能医科学研究所、大西研究室)の研究論文が海外雑誌に掲載決定!

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大学院修士課程2年(理学療法学分野)の中川昌樹さん(神経生理・運動生理Lab、運動機能医科学研究所、大西研究室)の研究論文が海外雑誌に掲載が決定しました。研究概要は以下の通りです。

研究結果:
他動運動時の関節角度および運動方向の違いが運動誘発電位に与える影響

研究の概要:
他動運動中に皮質感覚運動野の興奮性が変動することが複数の研究グループから報告されています。しかし、感覚運動野の興奮性変動が他動運動中の関節角度に依存しているのか、関節運動開始からの時間に依存しているのか明らかでありませんでした。そこで本研究では、他動運動中の皮質脊髄路の興奮性変動が、関節角度に影響されて変動しているのか、もしくは関節運動開始からの時間に影響されているのかを明あらかにすることを目的としました。その結果、他動運動中における皮質脊髄路興奮性の変化は関節角度に影響されず、関節運動開始(筋伸張開始)からの時間によって変動することが示されました。

本研究成果は、Frontiers in Human Neuroscience誌に掲載予定です。

研究者からのコメント:
本研究結果より、他動運動時における皮質の興奮性は関節運動開始(筋伸張開始)に伴う求心性入力と磁気刺激の刺激間隔に依存する時間的な要因で変化することが示唆されました。今後は、関節運動開始と刺激間隔を詳細に検討した基礎的研究を積み重ね、リハビリテーション分野への応用を目指していきたいと思います。

研究のポイント:
ポイント①:他動運動装置により律動的な運動を行いました(図1)。
図1.他動運動装置
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/20170522-1.pdf (12.4KB)

ポイント②:他動運動時におけるMEP、F波、M波の計測は実験1と実験2に分け、実験1では、関節角度および運動方向による影響を検討し、実験2では異なる運動範囲を用いて関節運動開始から磁気刺激までの刺激間隔による影響を検討しました。
図2.他動運動実験プロトコール
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/20170522-2.pdf (97.7KB)

ST 0°、静止時の内外転0°(Baseline); AD 0°、内転運動時の内外転0°; AD 20°、内転運動時の内転20°; AB 20°、外転運動時の内転20°; AB 0°、外転運動時の内外転0°;ST 20°、静止時の内外転20°

ポイント③:他動運動時には実験1において内転運動時の内外転0°でのみMEP振幅値が増大し、実験2では内転運動時の内転20°にてMEP振幅値が増大しました。この2つの他動運動条件は計測する関節角度は異なりますが、関節運動開始から磁気刺激までの刺激間隔が同じになるように運動範囲を設定しました。このことから、他動運動時におけるMEPの変化は関節角度や運動方向に依存せず、関節運動開始(筋伸張開始)から磁気刺激までの刺激間隔でMEP振幅値が増大することが示されました。また、F波およびM波には有意な差が見られなかった事から、このMEP振幅値の増大は皮質内での興奮性変化が示唆されました。

図3.実験1における他動運動時のMEP振幅値
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/20170522-3.pdf (58.9KB)

図4.実験2おける他動運動時と静止時のMEP振幅値
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/20170522-4.pdf (44.6KB)

原著論文情報
Masaki Nakagawa*, Ryoki Sasaki, Shota Tsuiki, Shota Miyaguchi, Sho Kojima, Kei Saito, Yasuto Inukai, Hideaki Onishi, Effects of passive finger movement on cortical excitability, Frontiers in Human Neuroscience, 2017.

用語説明
運動誘発電位(MEP):皮質脊髄路の活動性の指標、M波:筋、神経接合部の末梢レベルの活動性の指標、F波:脊髄前角細胞の活動性の指標、AF:求心性入力による皮質内の興奮性増大現象

>>運動機能医科学研究所の詳細はこちら
http://www.ihmms.jp/

>>修士課程 理学療法学分野の詳細はこちら
http://www.nuhw.ac.jp/grad/field/master/pt.html


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