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【理学療法学科】笠原一希さん(理学療法学科18期生,修士課程2年,バイオメカニクスLab所属,運動機能医科学研究所)が行った研究論文が国際誌『Journal of Sports Science and Medicine』に掲載されました!!

笠原一希さん(理学療法学科18期生,修士課程2年,バイオメカニクスLab所属,運動機能医科学研究所),村上優太さん(理学療法学科18期生,修士課程2年,バイオメカニクスLab所属,運動機能医科学研究所)、吉田麗玖さん(理学療法学科17期生),小泉亮馬さん(理学療法学科19期生),佐藤成さん(理学療法学科15期生),中村雅俊先生(西九州大学リハビリテーション学部リハビリテーション学科理学療法学専攻)が行った研究論文が,国際誌『Journal of Sports Science and Medicine』に掲載されました!!

研究の概要
運動前のウォームアップとして,静的ストレッチングが広く知られています.近年では,ストレッチングに代わるウォームアップ方法としてFoam Rollingが注目を集めています.静的ストレッチングおよびFoam Rollingは,関節の動く範囲である関節可動域が増加することが報告されています.これまで我々の研究室では,静的ストレッチとFoam Rollingの併用効果を検討しました.その結果,静的ストレッチ後にFoam Rollingを行う順序が効果的であることがわかりました(Nakamura et al. JSCR.2022, Kasahara et al. Biol Sport.2022).しかしながら,60秒以上の静的ストレッチは介入後に筋力が低下することが報告されています.そこで今回は,筋力低下が生じないとされている短時間の静的ストレッチとFoam Rolling,これらの併用効果を検討しました.結果として,短時間の静的ストレッチ,Foam Rolling,併用によって関節可動域は増加しました.30秒の静的ストレッチでも60秒の静的ストレッチと同様に筋力の低下を認めました.しかしながら短時間の静的ストレッチ後にFoam Rollingを行うことで筋力低下が生じないことがわかりました.これは我々の先行研究の結果と一致し,短時間の介入においても同様の結果が得られることを示すことができました.この結果から,運動前のウォームアップとして短時間の介入でも柔軟性の増加に有効であることが明らかになりました。しかしながら30秒以上の静的ストレッチは筋力を低下させるため、筋力を維持したまま柔軟性の増加を目的とする場合は,Foam Rolling介入が推奨されます.さらに,短時間の介入においても静的ストレッチ後のFoam Rollingは有効であることがわかりました.

笠原さんからのコメント

本研究結果から,短時間の静的ストレッチ,Foam Rolling,これらの併用効果が明らかとなりました.短時間の介入においてもFoam Rollingの効果は十分に得られるため,時間に制限のある臨床現場やスポーツ現場に応用していただけたらと思います.
本研究に関して,ストレッチの研究において世界的権威である中村雅俊先生をはじめ,カナダのDavid G Behm先生,オーストリアのAndreas Konrad先生にもご指導をいただきました.とても興味深い内容となっているので,ぜひ目を通してみてください.

本研究のポイント
1.短時間の静的ストレッチ,Foam Rolling,併用効果を比較した点

2.全ての条件で関節可動域の増加を認めた点
静的ストレッチ,Foam Rolling,その併用において,30秒という短時間の介入においても膝関節屈曲可動域の有意な増加を認めた.

3.短時間の静的ストレッチ条件でのみ筋力低下を認めた点
短時間の静的ストレッチ条件でのみ筋力の低下を認めた.一方で,短時間の静的ストレッチ後に短時間のFoam Rollingを行った条件では筋力の低下を認めなかった.そのため,Foam Rollingは静的ストレッチによる筋力低下から回復させることができることが示唆された.

 

論文情報
Comparison of the effects of short-term static stretching, foam rolling, and combination on knee extensors.
Kasahara K, Konrad A, Yoshida R, Murakami Y, Sato S, Koizumi R, Behm D, Nakamura M.
J Sport Sci Med.

 

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