視能訓練士は、「眼(視覚)」の健康管理を行う専門職として各種検査、視機能の矯正・訓練、リハビリテーションに至る様々な業務を担当し、主に病院や診療所などの医療機関で活躍しています。また、日本人の多くが眼鏡やコンタクトレンズを使用する中、その処方に関わる検査業務により、子どもから高齢者まであらゆる対象者の「見える」をサポートしています。さらに、近年ニーズが高まっている「子どもの眼の健康管理」や「生活習慣病の早期発見」など、視能訓練士の果たす役割はますます拡大しています。
視能訓練士に加え、同行援護従業者[視覚障害]の取得にも対応した本学独自のカリキュラムで、視機能の検査や訓練だけでなく、視覚障害を持った方への安全な視覚情報の提供方法などについても学びます。こうした取り組みにより、対象者のあらゆるニーズに対応できる質の高い視能訓練士を育成します。
本学科では、保育園や高齢者福祉施設で行われる健診への参加など、幅広い分野での学習機会を提供するほか、視能訓練士はもちろん、眼科医、認定眼鏡士SS級など、多様な資格を有する教員を配置し、幅広い知識・技術を身につけるための指導体制を整えています。また、多学科の学生と混成で学ぶ「連携教育」を通じて、チーム医療の一員として求められる関連職種への理解やコミュニケーションスキルを身につけることができます。
2020年3月に本学科の第3期生48名が卒業し、第3期生の就職内定率は、100%(内定者48名/就職希望者48名)を達成することができました。就職希望者48名に対して、266名の求人(2020年3月末現在)が全国各地から寄せられ、卒業生は、自身の目標に合わせ、大学病院や総合病院などへの就職を実現しています。今後も本学科では、就職を希望する学生を全面的にバックアップし、高水準の就職内定率の実現を目指していきます。
学科開設以来、第1期生から第3期生まで視能訓練士国家試験の合格率は100%です。本学科では、国家試験を想定した模擬試験の実施やスマートフォンやタブレット端末などで繰り返し過去問題を受けられるe-ラーニングシステムの構築を行っています。また学内教員だけでなく、国家試験作成に携わったことのある外部講師を招き、国家試験対策特別講義も行います。さらに、少人数制の個別指導を行うなど、万全な国家試験対策でサポートしています。
スポーツを行う上で「視覚」は競技のパフォーマンスを大きく左右します。そのため、スポーツに関与する「動体視力」や「周辺視野」については競技にとって大事な要素となります。本学科では、強化指定クラブなどのアスリートが多く在籍する特色を活かし、専門的にスポーツビジョンの評価を行う試みを推進しています。今後も本学科では、視覚の専門家として、パフォーマンス向上に向けたスポーツビジョンの解析の取り組みについても進めていきます。
視機能科学科では毎年、「視機能科学科公開講演会」を開催しています。毎回、視能訓練士・眼科・視覚に携わる著名な先生方をお招きし、その時々のホットな学びの特色についてご講演いただいています。
~過去の講演会~
第1回 阿部春樹 先生 (初代学科長、新潟大学 名誉教授)
第2回 Eberhart Zrenner 先生 (Tübingen大学 教授)
第3回 内川 惠二 先生 (東京工業大学 名誉教授)
第4回 田淵 昭雄 先生 (川崎医科大学・川崎医療福祉大学 名誉教授)
第5回 深井 小久子 先生 (日本視能訓練士協会 前顧問)
超高齢社会の進展や視覚を取り巻く環境の変化に伴い、2030年には視覚障害者数が200万人にまで達すると予測されています (調査: 日本眼科医会)。一方、視能訓練士は、有資格者数が約1万4,500人(2017月12月31日現在/公益社団法人 日本視能訓練士協会)しかおらず、圧倒的に人材が不足しています。また、2010年には「眼科コメディカル全国統一試験」が廃止され、眼科検査・訓練を行うことができる専門職は視能訓練士のみとなり、国家資格である視能訓練士の早急な育成が強く求められています。本学科では、これらのニーズに対応できる質の高い視能訓練士を育成します。
視機能科学科では、現役視能訓練士の卒業生を招いて在学生に向けた講演会を行っています。これは卒業後,眼科外来で臨床業務に就いている卒業生から、自身が在学中の講義を受ける姿勢や国家試験、卒業研究への取り組みを講演してもらうものです。在学生にとっては自身の大学生活を見直し、将来像を明確にしたり、日々のモチベーションをさらに上げるきっかけになっています。
10月10日は「目の愛護デ―」です。「10」の文字を横倒しにすると目のような形になることから、10月10日には全国で目に関するイベントが行われています。視機能科学科では毎年、学生が目の健康について伝えるために紙芝居を作成し、新潟市内の保育園・幼稚園を中心に読み聞かせ活動を行っています。学科内の有志団体である「劇団視機能」が中心となって活動し、その様子についてはInstagramやTwitterでも報告しています。
本学科では、「視能訓練士(国家資格)」と「同行援護従業者[視覚障害]」のダブルライセンスの取得を目指しています。近年、医療の目的は疾患に対する治療から、疾患を有する患者様のQOLの向上へと変化してきています。
「同行援護従業者」は、視覚障害によって移動が著しく困難な方の外出に同行して、援護や代読・代筆等の介助を行うための資格です。眼(視覚)のスペシャリストとして、幅広い視覚障害の患者様に対応できる視能訓練士の育成を目指します。