リハビリテーション学部
Department of Occupational Therapy 作業療法学科
集中力や記憶といった「認知機能」はヒトが社会生活を送る上で欠かすことのできない機能です。本ゼミでは認知機能に対するリハビリテーションの研究に取り組んでいます。具体的には、日々創出される医学的治療法が認知機能に対するリハビリテーションにも応用可能であるか実験的に検証を行います。実験研究により効果を確認された治療法は、実際の患者さんを対象とした臨床研究で有効性を検証しています。
卒業研究のテーマは「経皮的耳介迷走神経が記憶に及ぼす影響」。耳のうち外に出ている耳介には、迷走神経が走っています。それを皮膚の表面から刺激すると注意力や集中力が高まるとされており、その効果を検証する研究です。卒業研究は成人を対象としましたが、将来は作業療法士として子どものリハビリテーションに関わりたいため、小児への応用も想定して研究を進めました。例えば神経発達症の子がその療法により学習に集中できるようになれば、教室でじっとしていられない子やその家族の、生活の質的向上や社会参加の支援に繋げられると考えています。障がいがある子どもたちの「できた!」「楽しい!」を増やし、その子の特性や強みの発揮を支援できるようになることが目標です。
私たちのゼミでは、頭皮上から微弱な電流を流す「経頭蓋電気刺激法」という安全な方法を使って、脳にどのような影響が出るのかを調べています。加齢・病気によって問題が生じる記憶や注意などの認知機能を向上させることが、研究目的です。経頭蓋電気刺激法と認知機能の関係に関するエビデンスが少ないため、最先端の領域を開拓しているといえます。脳波計という機器を併用して脳機能の変化を可視化する試みも、本ゼミの特徴です。この研究が成功すれば、認知機能の改善に寄与する新たな手法やアプローチが開発され、認知機能障害の予防と治療に貢献できる可能性があります。
脳血管障害や難病などを有する要介護者は排尿便の動作が難しいだけでなく、尿失禁や頻尿・夜間頻尿の問題に悩まされています。また地域在住高齢者も加齢に伴う夜間頻尿や便秘、睡眠の質の低下に悩まされています。
さらに最近では、健常な若者においても、排泄や睡眠の問題を抱えていることが調査を通して明らかになってきました。
本ゼミでは「どのようなことをすれば、排泄や睡眠の問題を改善できるのか」について調べ、人々が快適な日常を過ごせるよう、排尿便および睡眠に関する調査や介入研究を仲間とともに協力し合いながら行っています。
手に重度な損傷を受けると、その機能を回復させるのに苦労します。機能回復のためにハンドセラピィ(手の外科の専門リハビリ)が必要になりますが、最近では手の外科の進歩に伴い、ますます術後早期から行われるようになりました。大山ゼミでは、電気生理学的手法を用いて、より安全で効果的なセラピィ技術を開発することを目指します。ゼミはいつも笑いが絶えず、楽しい雰囲気です。
本ゼミのモットーは、学生自らが抱いた興味や疑問について簡単な研究で明らかにすることです。そのため、ゼミのテーマとしては、「記憶力」や「注意力」といった人間の基本的な脳の働きに関するものが多くなっています。勉強にしてもスポーツにしても、自ら目標を持って取り組まない限り、有意義な時間を過ごすことができません。些細なことでも自ら進んで取り組む姿勢が何より大事だと考えています。
「手」は人間の体の中でも複雑な部位です。日常生活で使わない日はないと言い切れるほど活躍しており、きめ細かな動きをするために様々な機能を持っています。例えば、お箸を使う時に箸先から食べ物の硬さや形を感じ取り、指や手首の力を微調整することでスムーズに物を掴むことができるように調整しています。本ゼミでは、この複雑な手の動きや感覚を分析することで、障害を負った方に対するリハビリテーション法の開発に役立てることを目標にしています。学生が取り組むテーマ一つひとつは小さな疑問ですが、積み重ねることで毎年新しい発見を生んでいます。
今、日本では認知症患者が600万人を超えたと言われています。認知症の症状は記憶や注意といった認知機能の障害ですが、具体的な認知症の症状についてはあまり知られていません。
認知症の方の手助けをするには、まずその症状を深く知る必要がありますが、本ゼミではその一端を解明することをテーマに研究しています。
認知症の症状は、病気が原因のものや心理的な原因から生まれるものもあり、どれも目に見えないものです。
それらを測るためには、心理実験や行動学的な手法が用いられますが、目に見えなかったものを明らかにして、認知症の症状のメカニズムを解明していくことがこの分野の魅力です。