保健・医療・福祉・スポーツの現場では、対象者一人ひとりに合わせた質の高いサービスを提供するために、様々な専門職が一つのチームを形成し、連携・協働しながら治療やケアを行います。多職種間で連携をすることで、各専門職による支援に加え、それぞれの専門性や視点を取り入れた包括的なプランに基づく支援が可能となり、患者や対象者一人ひとりの希望に沿った、きめ細かい治療やケアを実践することができます。
POINT!
就職センターでは、卒業生の就職先である医療福祉施設など237施設を対象に「卒業生への満足度」についてアンケート調査を行っています。2021年に実施された満足度調査※では【採用先が重要視する能力】と【採用した本学卒業生の印象】において、多くの項目で一致する結果となりました。これらの結果から、本学での学びや実践的な取り組みが、社会が求める能力の形成へ繋がっていることが明らかとなっています。また、自由記述において「コミュニケーション能力が高い」「協調性がある」などの声も多く見られ、本学卒業生が就職先から高い評価を得ていることがうかがえる結果となりました。
※ 採用実績が1名以上ある全国の医療福祉施設や一般企業で、過去3ヵ年(2018年3月~2020年3月に卒業)入職した者が入職した237施設を対象にした「就職先施設が求める能力の重要度」と「本学卒業生の印象」のアンケート調査の結果に基づく(一部抜粋)。
脳卒中を発症すると手足の痺れや意識障害などの症状に加え、言語障害や半身麻痺などの後遺症が残る場合もあります。そのため、手術から入院・リハビリ・社会復帰までの場面で、多様な専門職のサポートが必要となり、専門職同士で連携しながら、きめ細やかなケアを行います。
救急救命士が容態を確認し、救急救命処置を行いながら病院へ搬送します。搬送先の病院では医師や看護師、医療事務スタッフなどが連携し、受け入れ対応を行います。
診療放射線技師はX線撮影などで身体内部を検査し、臨床検査技師は血液や脳波などの検査を行います。医師は検査結果をもとに、診断や手術・処置を行います。
術後の状態や投薬の効果などを確認するため様々な検査を行い、容態に応じたケアやリハビリを行います。看護師を中心に、様々な専門職が患者情報を共有し、連携しながら支援プランを作成し、必要なサポートを「チーム」で行います。
退院後の社会復帰に向けた様々な不安に対し、各専門職が連携し、安心して日常生活が送れるよう支援を行います。後遺症により、退院後も生活動作などで不便が生じる場合、訪問リハビリや生活指導を行い日常生活のサポートをします。
スポーツの現場では常にケガや事故が発生するリスクがあります。特に選手のケガに対しては、手術や治療はもちろん、競技復帰に向けたリハビリやトレーニング、メンタルケアなど多様な専門職のサポートが必要となり、専門職同士で連携しながら、効果的なケアを行うことが求められます。
スポーツチーム専属のアスレティックトレーナーが駆けつけ、選手の状態を確認し、アイシングやテーピングなどの応急処置を行います。救急車が到着してから、救急救命士が容態を確認し、処置を行いながら病院へ搬送します。搬送先となる病院では医師や看護師、医療事務スタッフなどが連携し、受け入れ対応を行います。
診療放射線技師は、MRI検査や超音波検査などで損傷部の状態を検査し、医師は検査結果をもとに、診断や手術・処置を行います。手術を行う際は、臨床工学技士が医療機器の操作・管理を行います。
前十字靱帯損傷の処置は、足をサポートする装具が必要となり、義肢装具士が製作・適合を行います。足のリハビリは、医師の指示のもとで理学療法士が行います。競技種目やケガの度合いによって支援内容も異なるため、専門職同士で患者情報を共有しながら、一人ひとりに合わせたきめ細かいサポートを行います。
競技復帰に向け、アスレティックトレーナーは練習メニューの考案やトレーニング指導を行い、管理栄養士はトレーニング内容に応じた栄養管理や指導を行うなど様々な角度から競技復帰をサポートします。社会福祉士は、退院後の生活、選手活動の継続に困難が生じた場合に受けられる公的な支援や補助についてアドバイスやサポートを行います。
認知症は老化によるもの忘れとは違い、脳神経の変性による脳の一部の萎縮や、脳血管障害によって引き起こされます。認知症が進行すると理解力や判断力が低下し、社会生活や日常生活への支障が出てきます。また、在宅で認知症患者を介護する家族へのケアも重要となり、専門職同士による連携は欠かすことができません。
ひどい物忘れや理解力の低下、問題行動などから心配した家族が医療機関に相談し、認知症と診断されるケースは珍しくありません。今後の生活をサポートするために、地域包括支援センターの社会福祉士や保健師などと連携しサービス利用に関する手続き・支援を行います。
認知症の進行による見当識障害が原因で、交通事故や転落事故などに見舞われるリスクがあります。受け入れ時に身元不明な患者の場合、社会福祉士が緊急対応として情報の把握(アセスメント)を行います。医師は検査結果をもとに、診断や手術・処置を行います。
術後早期に、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職が連携してリハビリを始めます。社会福祉士は、リハビリの様子や経過をモニタリングしながら、患者とその家族をはじめ各専門職と今後の治療の見通しやサポートについてしっかりと話し合い、今後の支援に向けた連携を行っていきます。
社会福祉士は、退院に向けて患者の在宅環境の調査やサービス、調整を行います。医療機関のリハビリの専門職だけでなく、地域包括支援センターなど地域の社会資源と緊密に連携し、患者とその家族が安心して元の生活を再開できるようにコーディネートします。