周囲からの信頼に応えるべく患者様の状態の適切な評価に努めています
言語聴覚学科
伊原 武志
| 卒業年 |
:2009年3月 |
| 出身高校 |
:栃木県 栃木高等学校 |
| 勤務先 |
:長岡赤十字病院 |
| 職種・職位・資格 |
:言語聴覚士・公認心理師 |
急性期病院の言語聴覚士は、他の医療職者との協力が不可欠です。最近は医師や看護師から食事の開始時期や食形態の判断を任されることが増えました。大きな責任が伴うものの、信頼に応えることがやりがいとなっています。大学で学んだチーム医療の重要性を実感する毎日です。
- 現在のお仕事内容を教えてください。
- 急性期とよばれる病棟業務と外来業務を行っています。対象は小児~成人です。主領域は摂食嚥下や高次脳機能障害ですが、人工内耳などの聴覚業務および小児構音障害。近年では耳鼻科医師とともに音声障害症例(声帯結節術後や反回神経マヒによる声帯のマヒなど)への介入が増えてきています。
また、言語聴覚部門における管理業も行っています。現在当院は5名の言語聴覚士がおり、課内の業務管理や各職種との連携、院内委員・チーム活動などへの参加を行っています。
- 現在の職種・業種を志したきっかけや理由について教えてください。
- 私の少し上の年代の方たちが就職氷河期で就職に苦労しているという話を耳にしたりすることが多く、何かしら手に職をつけて専門職に就きたいという思いがありました。耳やことばの領域を担うために脳の領域の機能・高次脳機能を理解する職種と知り、興味を持ちました。人間の脳の機能とはどんなものなのだろう、どのようにことばは産まれるのだろう、などの興味を持ちました。
- 仕事のやりがいは何ですか?
- 急性期病院の言語聴覚士(ST)の特徴として、患者が食事を開始できる状態か、それともまだ食事を摂るには早い段階にあるのかなど全身状態から適切に評価することが重要となります。現在、早期の経口摂取再開が推奨されていますが全身状態が重篤な場合、誤嚥や窒息のリスクが高まります。また、医師や看護師と協力しながら集中治療室から慎重に食事の開始を進めていきます。最近では医師や看護師から「食事開始の時期や食形態はSTに任せる」と依頼されることが増えてきました。責任は大きいものの、それだけ信頼を寄せてもらえている証だとも感じており、この信頼に応えることがやりがいにつながっています。
- 本学での学びの中で、現在の仕事に活かされていることは何ですか?
- すべて役に立っていますが強いてあげるのであれば成人言語障害学、高次脳機能障害学、成人発声発語障害学、小児言語障害学といった専門講義です。高校などの授業と異なり医療の現場では講義で得た知識をフル活用する必要があります。必要な知識は多岐に及びます。専門家としての意見を求められる場面も多々あります。大学では専門講義に十分な時間や、大変知識豊富な教員の先生方が教えてくださったので、今でもこれらで得た知識が役立っていると感じています。また、「卒業研究・論文」も役に立っています。今村徹教授のもとで複数の症例からのデータの取り方や統計の行い方などを学び、学術誌掲載の論文を作成することができました。現在も年に1回程度のペースで学会発表を行っておりますが、この時の経験が大変役に立ちました。さらに、理学療法や作業療法、社会福祉学科などの複数の学科で行う講義および基礎ゼミ2などがあり、積極的に参加を行いました。それらを経て他学科との交友が生まれ、友人関係をはぐくむことができました。社会人になった後も大学同期や先輩・後輩と一緒に仕事をする機会が非常に多く、総合医療大学でのチーム医療を学べたおかげと考えています。
- 今後の夢や目標は何ですか?
- STの行える業務は非常に幅が広く、学ぶべきことがまだまだあります。学会発表や論文などで研鑽を積みつつ、ゆくゆくは大学院での学びを得ていきたいと考えています。人生100年時代と言われれていますので、健康にも気を遣っていきたいと思います。