言語聴覚学科の内山信教授が県内高校への出張講義にて、言語聴覚士の魅力を講義しました。言語聴覚士は、職業認知が少しずつ高まってきておりますが、依然社会的ニーズに供給が追いついていません。言語聴覚士の職域は広く、十分に理解されていない現状もあります。
出張講義では、40名程度の高校生にご参加をいただきました。「知って理解する認知症と診療の実際」として、認知症の基礎知識、認知症診療の流れ、言語聴覚士にとどまらず認知症診療に関わる職種も含めたチーム医療のご紹介をさせていただきました。新潟県内においても今後ますます認知症患者が増加し、支援の対象となるご家族も合わせると数十万人に及ぶと見込まれます。高校生にとってはあまりなじみのないテーマかと思いましたが、「こんなにもたくさんの方がいらっしゃることに驚いた。」との感想をいただきました。認知症では様々な認知機能障害が認められますが、認知機能は無意識的に働くことが多いため、なかなか理解されにくい身体の機能かと思います。そのため、テレビゲームの一場面やデート中の場面を想定して、「今、頭の中でどんなことが行われているか。」すなわちどんな認知機能が働いているかを考えていただきました。そのうえで、これらの認知機能が障害されるとどのような症状が生じるのか(中核症状)、そして、認知機能障害によりどのような心理面、行動面の症状が生じるのか(周辺症状)についてお話をいたしました。

後半は認知症のチーム医療にかかわる医療職種とともに言語聴覚士の行う認知機能検査体験も踏まえ、言語聴覚士の職務をご紹介致しました。認知症は認知機能障害によって生活に支障をきたした状態であるため、テストや検査の結果と同等に患者様の生活に着目します。そして、「コミュニケーション」、「認知機能」といった観点から認知症の患者様とご家族のQOLの向上を目指した支援を行います。適切なコミュニケーションを行うためには「話す」(運動機能)、「聞く」(感覚機能)だけでなく、様々な認知機能が必要です。言語聴覚士という名前からイメージがしにくいと思いますが、脳科学の知識も学際的に取り入れて患者様を支援する言語聴覚士の仕事を知ってもらえると嬉しいです。