2026年10月31日(土)から11月1日(日)に開催された第13回日本サルコペニア・フレイル学会大会において、健康栄養学科の森博康講師がデジタルヘルスを活用した高齢者のフレイル予防に関する研究成果を発表し、優秀演題賞を受賞しました。

日本では、高齢化の進展に伴い、認知症やフレイル(加齢に伴い心身の活力が低下した状態)など、加齢に関連する健康問題への対応が社会全体の重要な課題となっています。一方、近年のAIやウェアラブル端末、Personal Health Record(PHR:個人健康記録)などのデジタル技術の進展は、高齢者の健康維持や生活支援に新たな可能性をもたらしています。しかし、これらの技術を活用した老年疾患の予防に関する無作為化比較試験の報告は限られており、高齢者が日常生活の中で無理なく活用できる支援方法の開発と、その有効性を裏付ける科学的根拠の構築が求められています。
これまで私は、徳島大学と共同で、糖尿病患者の自己管理を支援するスマートフォンアプリ「電子糖尿病ダイアリー」を活用した研究に取り組んできました。そこで得られた知見をもとに、デジタル技術を用いた健康管理の仕組みを高齢者のフレイル予防にも応用できるのではないかと考えました。本研究では、PHRを活用した健康支援が、高齢者の食行動の変容や健康関連QOLに与える効果について、無作為化比較試験により検証しました。
その結果、高齢者においても食事や歩数、体重などの自己記録の遵守率は高く、デジタル技術を活用した健康管理を継続できる可能性が示されました。さらに、自己記録の遵守率が高いほど、歩数などの変化量が有意に増加することが明らかになりました。これらの結果は、PHRを活用した日々の健康状態の記録や振り返りが、高齢者の主体的な健康管理や健康行動の改善につながる可能性を示唆しています。また、高齢者におけるデジタル技術の利活用を科学的に検証した点においても、意義のある研究であると考えています。
今回の受賞を励みに、今後も研究成果を広く発信するとともに、高齢者が日常生活の中で無理なく継続できるデジタル技術を活用した健康支援のあり方を検討していきたいと考えています。さらに、栄養学とデジタルヘルスを融合した研究を発展させ、フレイル予防や健康寿命の延伸に貢献していきたいと考えています。
昨年は、同学会大会で、サルコペニア・フレイル指導士としての活動賞を頂くことができました。今回は研究成果に関する賞を受賞することができました。